多様な色覚体験ルーム ゴッホの絵
「ゴッホが書いた青緑色の猫」
その後私は ゴッホの「ドビーニの庭」で青緑色の猫が描かれていたり、またその猫が後で消されていたりすることを知りました。また、ゴッホ書簡の調査などから、ゴッホの色覚はC型ではないと考えた方が分かりやすいのではないかと思うようになりました。
「ゴッホ書簡の中の青と緑の見分けが出来ない話など」
たとえば、ひとつをあげると下記のような記述です。
ファン・ゴッホの手紙 みすず書房 二見史郎編訳、圀府寺 司 (翻訳)
285頁 ヴィルあてのフィンセントの手紙 1888年 9月9日 16日
抜粋:僕ときたらじかにそのものを描かないとと満足しないのだ。たしかに、暗がりでは色調の質をうまく見分けられないので、青と緑を取り違えたり、青いリラ色をピンクのリラ色と取り違えたりすることはある。しかし、これは色あせた、青白いみすぼらしい光のある因襲的な黒の夜から脱する唯一の方法だ。
この青いライラックとピンクのライラックというのはC型が見間違うことはありません。しかし色弱者は見分けが付きにくいものです。他にも絵の具を買いに行くのがいつもゴッホではなく弟である理由はなんであるかとか、ターナーの絵を見に行って、絵の隅々まで何色がどういう風に使われているかを非常に細かく記録する理由はなんだろうとか。
丁度心の色展が札幌で開かれていたときに、北海道CUDOの方達にそのような話をしました。
「パルコキノシタさんの研究など」
それから、私は色々な人に、ゴッホの絵のことを話してきました。パルコキノシタさんはとてもよく研究されていて、不自然な色使いのほとんどがシミュレーションでは問題が感じられないことを主張されており、今回の体験小屋の壁にはゴッホの絵を掛けるようにデザインしました。実際に体験ルームの中ではゴッホの絵が大変受けていたようです。
せっかく小林会長から研究を進められたにもかかわらず、私はその実証方法にたどり着くことができませんでした。一番大きな理由は自分自身が色弱者でありシミュレーションの前後が変わって見えないため、C型色覚者がどこに違和感を感じているかが分からないためでしたが、北海道に出かける朝やっと私なりに説明の方法を得ました。まずゴッホのオリジナルの絵の独特の色使いについて説明する。次にシミュレーション後の絵ではその独特の色使いがどうなったか。ここでは青と黄色や白と黒ではなく、特に赤と緑の色のバランスに注目して考える。このような絵の比較画像を見開きにした画集を発行するかねというところまで話をして北海道へ向かいました。
「浅田さんの発表」
本件に関して、浅田一憲さんのブログではとても分かりやすく、またご自身で作られたシミュレーションソフトを使って解説されています。是非ご覧ください。
http://asada0.tumblr.com/post/11323024757
- 2011.10.10 Monday
- カラーユニバーサルデザイン資料
- 22:07
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- by 伊賀公一(いがちゃん)